視線を、松本先生と沖田のいる部屋へ向ける。 何を話しているのか分からないが、どうして、あんなに―――― ――――冷静に、していられるんだ。 労咳は、死病。 絶対に治る事はなく、いずれ死んでゆく定め。 普通、自分が死ぬと告げられたら、もっと取り乱すだろうに。 あの冷静さは、きっと、分かっていたからか。 「私は、療養する事を薦める。 ・・・・・治らなくても、少しは進行を遅らせられるだろう」 静かに近寄った部屋で、悪いと分かっていながら聞き耳を立てた。