しかし、目の前には人の姿は無かったが、白い布団は無造作に敷かれたまま。 そこに、人の形に布団が盛り上がっているのが、かろうじて見て取れる。 身動ぎしない、静かに上下するだけの布団。 そっと手を当ててみると、確かにそこには泉箕がいた。 『・・・・・土方、か?』 「あぁ、良いご身分だな」 ゆっくり布団から体を起こし、これまたゆっくりとこちらに顔を向ける。 どことなく、顔が白い気がするのは気のせいだろうか。 「何で、稽古に出ない。 私事で稽古に出ないというのは無しだと、説明しただろう」