そう呟き、歩き出す土方を振り返る。


どこか小さく見えた土方は、返り血を浴びた隊士達の中に、呑まれて見えなくなった。


池田屋の中から運び出される隊士。


その中に、昏倒したと誰かが言っていた沖田の姿もあった。


それを見送り、私はもう一度周囲を見渡す。


月明かりを反射する赤は、ただ深く、浪士達を沈めていた。


どうして・・・・・斬るしかないのだろう?


ただ、そんな疑問が私の頭を駆け巡る。



『千歳、そろそろ戻るぞ』


「――――うん」



哀しそうに私に話し掛けた泉箕に頷き返し、私は屯所へと足を踏み出した。