『恩賞とか、手柄の為じゃなく、僕達の為に』



・・・・・この時は、誰も気が付いていなかっただろう。


あの笑顔が消えてしまう事も、死よりも苦しいあんな出来事が起こるだなんて。


誰が、予想していただろう。


ただ笑い、ただ刀を振るうしかなかった私達は、自分の未来を知らなかった。


――――きっと、神である泉箕も。



再び雨の匂いが立ち込める中、蝋燭一本の部屋。


私は、ただ来たるべき事件を目の前にして、刀を握り締めるしかなかった。