そんな彼に静かに頷き返し、無人の部屋を後にする。


土方達新撰組幹部は、明日へ向けて打ち合わせをしていた。


・・・・・今夜、戦略は話すらしいけど。



「千歳さん、拷問してた所、見てましたよね」


――――土方副長の、あの姿。



そう言った奥沢は、今日は稽古をしている人影の無い壬生寺で、足を止めた。


先日の雨で、未だに湿った空気のその場所。


蒸し暑さに目を細めながら、私は奥沢の言葉を待った。



「あの時、とても哀しそうな顔してました」