そう、顔を上げた近藤さんが襖の外へと視線を向ける。 少しばかり騒がしくなったような気もする外へ、土方は鋭い目を向けた。 「土、方・・・・・?」 その目に少したじろぎながら、私はおずおずと土方に話しかける。 しかし、その声に耳を傾ける事なく、影と足音は遠ざかって行った。 それに続き、部屋を出て行く二人の背。 薄暗くなった湿っぽい部屋は、置いてけぼりの私の心のようで。 土方の手を引こうとした手が、ただ空しく宙を掴んでいた。