土方に続いてお握りを手に取った二人の後の竹包みには、お握りが何とか一つ残っていた。



「おめぇらなぁ・・・・・ま、別に良いけど」



頬張る二人の顔を見ながら、土方はまるで、自分の弟でも見るような。


そんな優しい顔で、二人を見つめている。


彼らとの日々が、こんな毎日が。


ただ雲の流れる空を仰いで、流れる川をただ見つめて、ただ――――


平凡に、日々が過ぎればいいのに。



「千歳も、女の格好したらこんなに美人なんだな」



そうやって笑い掛けてくれる彼らの瞳に、私の願いは、浅葱色の空に舞う桜と共に散った。