着物の中に、僅かに残った母の香り。 その着物に、顔を埋める。 憎んでいたはずだった。 それでも・・・・・生きていてほしかった。 行き場の失った憎しみは、私の中で塊となった。 それは・・・・・どれだけ時間が経っても、消えてはくれなかった。 何年経っても、何十年経っても・・・・・ 『母さん・・・死んでるなんて、ずるいよ・・・・・!!』 汚れた頬を、涙が伝う。