遠い月に手を伸ばしながら、俺は静かに目を細める。


・・・・・月明かりの透けた、自分の手の平。


あと、限り少ない時間を表しているのは、一目瞭然。


時間を長すぎる、そう思った事はあったが、あともう少し欲しい。


そう思ったのは、ある意味初めてだっただろう。



――――千歳を、よろしく頼む。



哀しそうに微笑んだ沖田と、自分の掠れた声が、何度も何度も頭を巡る。




『俺は・・・・・あいつが。

――――あいつさえ、幸せでいてくれたら、それでいい』




そう小さく呟いて、俺は再び、哀しげに顔を歪める沖田に笑みを向けた。



泉箕side end.