ずっと、泉箕以外に私を見てくれる人なんていなかった。



「おい、泉箕か何だか知らんが入るぞ」



後ろで、土方が部屋に入っていくのが見えた。


何か、話し声がする。


川の内容が気になったけど、盗み聞きは私の趣味じゃない。


そのまま、ぼんやりと屯所の塀に日が沈んでいくのを眺めていた。



『千歳・・・・・ごめんなさい・・・・・っ。

チトセ・・・・・ゴメン、ナサイ』



母さん――――謝らなくていい、忘れてくれてもいい。


私は・・・・・愛してくれる人がいてくれただけで、もういいから。



「・・・・・おやすみ、母さん」



さようなら、憎んでても大好きだったよ。