「かあ、さん・・・・・」 母さんの姿は、もう無くて――――そこにあるのは。 ただ、コロンと転がり微笑んでいる、あのこけし人形だった。 そして、それを睨み付けるある人物の姿。 「おい、てめぇ誰だ!?」 『あ~、ちょっとお主黙っててくれぬか』 威嚇するように刀の柄を握る土方を、あっさりと制す。 そして、その人形を手に取り、私の方へと歩いてきた。 『はい、千歳。ただいま帰ったぞ』 ニコリ、と腹が立つくらいの綺麗な笑みを浮かべる人物に、思わず影で拳を握る。