しかしそれは凛だけだった。 紗枝は幹久に貶されるなんて日中茶飯事で、幹久が紗枝を叱るのも日中茶飯事だからだ。 何故ならこの二人は――… 「もう!お兄は黙っててよ!」 「お兄!?」 兄と妹の関係にあるからだ。 凛は驚いて二人を交互に見つめる。よく会話に出てくる“お兄”。『お兄に怒られる』と紗枝は口癖のように凛にボヤいていた。 その“お兄”がまさか自分の先輩である幹久先輩だとはこれっぽっちも思わなかった。