「ガハ…ッ」





横たわるフードの男に蹴りを入れる響。あばら骨が折れた音がした。既に鼻は曲がっていて顔が血だらけ。口から血を吐くフードの男を気に掛けることもせず響は嗤笑する。





「邪魔だね〜お前。ほんと邪魔。消えろ。消えろ。消えろ。目障り。凛は俺の。分かった?」

「…ぐあ…っ!」

「へ〜ん〜じ。返事くらいしろよ。凛は俺のなの。勝手に変な手紙とか入れて怖がらせないでくんね?」

「…ッい゙」

「つ〜かオメエのせいで俺が犯人扱いされてんだよ。」





グリグリとフードの男の頭を踏む響。男は終始、襲う痛みから逃れようと身体を捩る。しかし休み暇なく響は手や足を振り翳す。





「(手紙?手紙ってあの人が?)」




背筋が寒くなる光景に眉を顰めていた凛はハッとした。そして毎日下駄箱に入っていた手紙を思い出す。


告白の域を越えた『愛してる』の言葉を。


そして『消えた』と謂う宣告を。