魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−






「わ、たしも、好きです、よ?」

「はは!そりゃあ嬉しいぜ。最後に粋な言葉が聞けて最高だ。」





“人”として凛は村上先生のことを尊敬していた。教師と生徒とか関係なく村上先生が好きだった。それは恋情でも無ければ友情でも無いが。


彼が凛に向ける情はどういう意味の“好き”かは分からない。しかし凛の言葉には満足したようで、わざとらしく笑った。





「――――じゃあな。」





スッと凛の横を通り抜ける。


通り過ぎる際に村上先生はポンッと頭に手を乗せた。


手が離れたと同時に、凛は自分の髪にゆっくり触れる。離れていく温もりに、寂しくなった。


意外にもあっさりした別れ。涙に暮れる別れをしたい訳でもないが、去っていく村上先生に凛は心苦しくなった。あの出来事が無ければ、まだ村上先生はここに居たのか――――と。