「…そう言えば、わたし、紗枝ちゃんのこと何も知らないんです。」
「……」
「幹久先輩と紗枝ちゃんが兄妹だと知ったのもつい最近です。」
「……」
はは、と空笑い。
凛は幹久をじっと見つめたあと、ゆっくりと口を開いた。
「…紗枝ちゃんは、私を騙しているんでしょうか?」
そんなの兄である幹久にでも分かる筈がない。紗枝の心は、紗枝にしか分からないのだから。しかし凛はどこか、すがる眼差しで幹久を見つめた。
「―――さあな。」
簡単に期待する言葉が返ってくるわけもなく凛は気まずそうに目を逸らす。気休めでも『違う。』と否定して欲しかった。
でも、それが本当に気休めでしかないと知ってるからこそ、幹久は敢えて言葉を濁した。
そして――‥

