魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−






「はは、」





凛は空笑いを浮かべる。


嘘だと笑い飛ばしたかった。


笑い飛ばして欲しかった。


しかし幹久の目に曇りはない。





「…演劇、部?」

「ああ。中学からだ。将来は女優志望で演技なんてアイツにとっては息をするのと同じことだ。」

「…っ」

「よく言えば“演技”悪く言えば“騙し” アイツの言動は4割方嘘で塗り固められてるから鵜呑みにするな。」





幹久の言葉はスッと耳に入り、


またスッと抜けて行った。


凛は何を信じて、何を疑えばいいのか、誰を信じるべきで、誰を疑うべきなのか、分からくなった。


いままで築き上げてきた“紗枝ちゃん”が ガ ラ ガ ラ と崩れる音がした。