「ま、待ってください!何を根拠に紗枝ちゃんだと!?」
「根拠も何もこの目で見たからだ。」
そう言われてしまえば何も言えず凛は口を閉ざす。
「で、でも紗枝ちゃんは泣いてました。幹久先輩の…お兄さんのことを思って泣いてました。」
そう言って悲痛に顔を歪める凛。“兄思いの妹”を疑わないで欲しいと思ったからだ。あんなに目を真っ赤にさせていた紗枝を疑って欲しくなかった…
しかし妹の健気さを語る凛を怪訝な面持ちで幹久は見る。
「知らないのか?」
「何がですか…?」
「アイツは演劇部だ。」
新たな事実に眉を顰めた。
イヤな予感が拭えない。
凛は誰かに否定して欲しかった。
まさかあれが―――…
「泣くことくらい、造作無い。」
演 技 だ な ん て 、

