「それだけ?」
「え…?」
「まさか悩みってそれ?」
「それだけって…」
充分深刻な話だよ、と思った凛は口を紡ぐ。
捺の言ってることが、良く理解出来なかった。それにどうして捺はこうも平然としているのか。響が、犯人なのかもしれないのに。
捺は『そんなことか、』と言いたげに呆れたような、安堵したような、息を吐くと、またもや身体を背凭れに預けた。
「正直響も幹久先輩とやらも俺にとってはどうでもいい。まぁ悩みがそれなら安心したよ。」
「なつく――」
「もっと深刻なことかと思ったからね。凛が悩む必要なんて無いよ。響なんて放って置けばいい。いつか襲われたとしてもタダでは死なないでしょ。」
「――――いい加減にして!」
好き勝手言う捺に凛は声を荒げて立ち上がった。簡単に、気楽に、そして投げ遣りに考える捺が凛は許せなかった。

