……さすがにコイツのコトは覚えた。

交差点の交通事故に巻き込まれて、大怪我して入院してたヤツ。



「オマエ、願いを何でも叶えてくれるって、本当?」


俺が返事をする前に、下野が口を開く。
振り向いたから、聞いてもらえると思ったんだろう。



「それなりの報酬を貰えるんなら、だいたいの願いは叶えてやれるけど」




俺の説明で、たぶん間違ってない。

……法外レベルの血を受け取っても構わないなら、いわゆる“御天道様に背くような事”でも、叶える事は出来る。



……どうせ吸血鬼なんて、はなから太陽に背いた存在だし。
だからこそ、吸血鬼は日光を浴びると灰になっちゃうんだろう。
結果的に、本来なら夜にしか活動出来ない。
我ながら、自業自得だと思ってる。



「……だったら、叶えて欲しい願いがある。報酬は、どれだけ取られても構わない」



…コイツ、本気で言ってるのか?

俺が貰う報酬は、血。
場合によっては、血の取られ過ぎで、失血死する可能性もあるぞ。





.