「受験までに必死で勉強しても……ですか?」


「……厳しいだろうな」



まさかそんなにはっきりと可能性を絶たれるとは思っていなくて、私はじょうろを持ったままショックで動けなくなってしまった。

そんな私に、岡澤は……



「お前の成績を上げてやれる方法がある」



そう、耳元で囁いた。


当時の私はバカみたいに岡澤を信頼していたから、志望校に行きたい一心で彼にすがった。



「どうすればいいんですか?どんな勉強方法にすれば……!」


「……ここではちょっと。進路指導室でゆっくり話そうか」



あのときの私はどうして見抜けなかったんだろう……

あの男の、醜い下心に。


疑うことを知らなかった私は、素直に頷いてパンジーの花壇を後にし、岡澤に続いて校内へと入った。