「――恩田先生が担任になってくれて良かったわね」



リビングのお茶を片付けながら、お母さんが言った。

私はそれを手伝いながら、うなずく。



「うん。……人気の理由は見た目だけじゃないんだなって思った」


「あら、やっぱり人気なの?残念ねぇ」



大げさにため息をついてみせるお母さんに私は思わず笑ってしまった。



「なーに?お母さん先生みたいなのが好みなの?」


「千秋がお風呂に入ってるときにね、先生とハーブの話で盛り上がってたの。
お父さんはそういうの全く興味がないから、話の合う相手に会えて久しぶりに楽しかったのよ。……あ、お父さんには内緒よ」


「はいはい」



私の植物好きはお母さん譲り。

だから私も、先生のそういう面が本当は気になっていた。


先生も、あの庭でハーブを育てているのかな。

何を植えているのか、今度聞いてみよう……



「ただいまー」



そんなことを考えていると、お父さんが仕事から帰ってきた。


さっき私が告白したことはお母さんの口から伝えてもらうことにして、私はとりあえず笑顔で、お父さんのカバンを受け取りに行った。