「……あの、キスは………なんだったんですか……?」
体育館裏でした、私の初めてのキス。
それも私をつなぎ止めて、今日、このとき利用するためだったというの……?
気持ちがなくても、あんなことできるものなの……?
「なーに、またしたくなっちゃった?」
曽川先輩は私の腰をぐっと引き寄せ、あごに手を添えるとこう言った。
「オトモダチとしてならいいよ?」
「…………っ!!」
ドン、と大きな身体を押し返し、私は彼をにらむ。
泣きたいのを必死で堪えているせいで、目と鼻とのどが焼けるように熱かった。
「泣かないでよ、ほら、これあげるから楽しくなんか飲もうよ。酒でもいいし」
自分の顔をあおぐように、一万円札をぴらぴらとさせる先輩。
私はもう我慢できなくなって、彼に背を向けその場から逃げ出した。