「もう……いい加減、前に進みたいから」



机の上でぎゅっと握り拳をつくると、有紗がそこに自分の手を重ねた。



「……私もね、千秋はそろそろ幸せになるべきだって思う。あんな風に無理矢理先輩と引き合わせたのも、そういう気持ちがあったからなんだ。
ごめんね?お節介なやつで」


「ううん、きっかけを作ってくれて感謝してるよ。それに私……曽川先輩のこと……好き、だし」



わざと有紗から目をそらして言ったのに、彼女は私の顔を両手ではさみ込んで自分の方へ向かせた。



「千秋が……恋してる」


「あ、有紗……?恩田来たよ……」


「千秋が……恋する乙女になった~!!」



バカ、声が大きい……!!



「――――渡瀬さん、三枝さん、ホームルームを始めたいんですが、いいですか?」



恩田が教卓の方からこちらを見て微笑んでいる。

もう、有紗のせいで怒られたじゃない……