私が門の前で立ち尽くしていると、玄関から誰かが出てくる気配がした。
やばい……他人の家をジロジロ見るのってあまり良くないよね。
でも、あのおばあさんの後にどんな人が越してきたのかが気になる。
私は今偶然通りかかったような顔をして、何気なく玄関の方を振り向いた。
「……三枝さん?」
「恩田……先生」
なんで、恩田がここに……
「ずいぶん遅いんですね。早く帰らないと家の人、心配しますよ?」
「……遅くなるって連絡してありますから」
こんな面倒なやり取りをするハメになるなら、さっさと帰っていれば良かった。
今さら後悔しても、もう遅い。
きっと恩田は……
「送ってい「結構です!」」
最後まで言われる前に断ってやった。でも恩田はめげなかった。
「……きみが嫌でも送っていく。何も起こらないとたかをくくっている時ほど、何かが起こってしまうものだから……」