「……よかった、失くしたと言われたらちょっとショックが大きなと思っていたので」


「なくすわけないです。でも……大学に着けていくのは恥ずかしいから」


「そういうものですか……僕は“この子は予約済みです”って、大学の悪い男たちに知らしめたかったんですけどね」


「悪い男って……」



クスッと笑った私に、先生が真面目な顔になって言う。



「冗談はさておき……その指輪はちゃんと、そういう意味ですから」



ドキン、と心臓が大きく波打った。


そういう、意味……

それは、二年前のお別れの日に先生が言った言葉と、関係がある……?



「ちゃんと、言ってくれないと……わかりません」


「……ごめん、そうですね。じゃあ、それを貸して?」



先生がそう言って、私の首に手を伸ばした。

器用にペンダントの留め金を外して、指輪だけを外すとまた私の首に付け直した。


そして私の手を取り、ゆっくり口を開く。



「三枝千秋さん」


「……はい」




「これからも……僕とともに、人生を歩んでくれますか?」