金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


「杉浦くん」


「……はい」


「きみが学校に来るようになってくれたこと……そしてきみに仲間ができたこと。僕は、それが本当に嬉しいです。

一年生の時の経験は本当につらいものだったと思うけど、それを乗り越えた自分の強さを、誇りに思ってください。」


「……先生と、みんながいたから……」



杉浦くんが、潤んだ瞳で先生を見た。



「僕が強くなれたのは、恩田先生のクラスになれたからです……先生とみんなに出会うことができたからです……」



最後の方は涙声になってしまった杉浦くんの頭を、先生が優しく撫でた。



「杉浦くんは、卒業したらプロのカメラマンさんの弟子になるんですよね。きっとつらい道のりだと思いますけど、きみならできると信じていますよ」


「ありがとう……ございます……」



杉浦くんの様子を見ていた有紗は、いつも明るい彼女に似合わない神妙な面持ちになってそわそわしていた。


そして次は……そんな有紗の番だ。