「え……恩ちゃん、うそでしょ?」


「あたしたちの卒業式、出てくれないの?」


「つーか次の担任誰だよ?今さらほかの先生に進路の相談とかありえねー!」



始業式の日、クラスのみんなにすべてを明かした先生。

いきなりの告白に、教室中がパニックになった。



「みんなには、ごめんとしか言いようがありません……三年生の、大切な時期にこんなことになってしまって。

卒業まで誰が僕の代わりに担任をしてくれるのかはまだ未定ですが、引き継ぎはきちんと行うので、誰になっても、信頼して何でも相談してほしいと思います」


「そんなの、無理!!」


「私たちの担任は、恩ちゃんしかいないもん!!」



本気で怒っているみんなを見て、先生は寂しそうに笑う。



「僕も……きみたちの卒業を見れないのは、とても無念です。こんな中途半端に投げ出さずに、ひとりひとり、顔を見て、卒業証書を渡したかった」


「だったら……!!」



興奮しすぎて立ち上がった一人の男子に、先生が優しい眼差しを送る。


彼がばつがわるそうに着席するその姿を見てから、先生は前に向き直った。