ただでさえこの店内に男が居るのは目立つのに、曽川先輩は背が高いうえ頭がオレンジ色。
隣に居るのが恥ずかしくって、シュシュなんかもうどうでもいいから、早く出たいなぁなんて思ってしまう。
「……ねぇ、これ千秋ちゃんに似合うと思うんだけど」
「え……?」
曽川先輩が手にしていたのは、黄色いガーベラの髪飾り。
それだけ見れば可愛いけれど、ちょっと派手すぎるような……
「早速付けてみよ?」
「わ、ちょっと勝手に……!」
髪には神経が通っていないはずなのに、曽川先輩に触れられた部分は、ちりちりと焦げてしまいそうに熱い。
先輩は髪飾りを付けた私を鏡の前まで連れていくと、納得したように大きくうなずいて言った。
「やっぱ似合う。これ買ってあげるよ、初めてデートした記念に」
いいです、悪いですと何度言っても先輩は気を変えてくれなくて、私は自分の浮かれた心そのもののような髪飾りを付けて、有紗たちと合流した。

