大学は、親に迷惑を掛けたくないし先生が帰ってきたときにすぐに会えるよう、自宅から通える国立大を第一志望にした。


一学期に何度か行われた模試では、だいたいがCに近いB判定で、先生の評価もまあまあといったところ。


そして夏休み前最後の模試の結果が返ってきてざわつく教室内で、私は静かに自分の結果を眺めていた。

初めてAに近いB判定が出たから、心の中では小さくガッツポーズをしながら。


するとそんな私の元に、土居くんがやってきた。



「うわ、もうこの結果なら余裕じゃん……」



私の机の上を勝手に覗き込み、そんなことを呟く土居くん。



「ちょっと!人の結果勝手に見ないでよ。見るなら土居くんのも見せて」


「……いーけど」



彼の手の中でくしゃくしゃになっているその紙を広げて見せてもらうと、判定の文字はD。

でも、それよりもほかの部分に目の留まった私は、土居くんに尋ねる



「第一志望……おんなじなんだ。しかも、教育学部……」


「別に三枝をストーカーしてるわけじゃないからな。こっから通える国公立で教育学部あんのそこだけだし」


「そんなこと思ってないよ。むしろ心強い……よかった、親しい友達に仲間が居て」



土居くんは、中学校教員養成課程か……

頑張り屋の彼のことだ。きっと部活を引退して本気で勉強すれば、すぐに判定上がるよね……


一緒の大学に行けたらいいなという期待をこめながらまじまじと結果の紙を眺めていると、土居くんがぽつりと言った。



「…………恩ちゃん、やっぱ転勤なのか?」