金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


私は涙を指で拭って、それから先生を見つめた。


こんな素敵なクリスマスは人生で初めてだ。


だけど、それが今年だけだったらいやだと思う私は、欲張りかな。


半日前には別れを決意していたのに、私の心は本当にわがままだ。



「先生……」


「――ん?」


「来年も、再来年も、ずっとずっと、こうして二人でクリスマスのお祝いしましょうね!」



先生は私の頭を撫で、にっこりと微笑んだ。



「―――もちろん、約束します」



お互いに一口分のケーキをフォークにさし、それを優しくぶつけ合って乾杯の代わりにした。


お互いに食べさせあったケーキは胃にもたれそうなほど甘くて、二人で1ホールたいらげるのはとても大変だったけれど、それ以上に楽しい時間だった。