外が寒い分だけ、私たちの熱で窓ガラスが曇る。
先生の言った通り、暖房なんて必要なかった。
私たちは、二人とも汗をかいていた。
まだ布団も敷いていない、明るい部屋の中、畳に身体を横たえて。
「……先、生……?」
快感の波の狭間で、私は彼を呼んだ。
絡ませた指に力を込めて、そして、心からの笑顔を先生に向けて呟く。
「私……幸せです」
親に、嘘をついてここに来た。
先生には、本当はまだ奥さんもいる。
それでも、この愛が穢れてるなんて、誰にも言わせない。
こんなに愛しい人に出逢えたことを、私は恥じたりしない……
知らず知らずのうちに私の目に浮かんでいた涙を先生はそっと吸い取り、柔らかく微笑んだかと思ったら激しく腰を打ちつけるので、
私の口は言葉を紡ぐことができずに悲鳴じみた声を上げるだけだった。
だけど遠のく意識の中で、耳の奥に零れ落ちた言葉を私は忘れない。
“愛してるよ、千秋――――”

