金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


駅から10分くらい歩いたところにある旅館は、古そうだけどとても雰囲気があって、先生曰く、有名な文豪も訪れた宿なんだとか。

私みたいな子供が来ていいのかと、そわそわしてしまう。



「――若奥様には、お風呂上がりにお召しになる浴衣を選んでいただきます」



こんな年の差でもそういう風に見えるのか、それとも、お客さんにはそう言う決まりなのか……

品よく着物を着こなした従業員の女性にそんな風に言われて、照れまくりながら浴衣を選ぶ私を先生は嬉しそうに眺めてた。


通された部屋は、和洋室って言うのかな……

広いフローリングの真ん中に和室があって、テーブルと座椅子が置いてある。


床の間には、昨日がクリスマスだったからかポインセチアの鉢植えが置いてあって、なんだかほほえましい気持ちになった。