『それを慰めてくれたのが秋人だった。友達には言えない恋だったし、なによりそんな惨めな話はできなくて……
だけど、秋人は私の様子がおかしいのに気づいて、話を聞いてくれた。まだ中学生だったけど、今と同じ優しい眼差しで……
だからね、そんな秋人に愛されたあなたが羨ましかった。きっと私みたいに捨てられることなんてないって、確信できたから……』
今も昔も、優しい先生。
お姉さんのことも助けてあげてたんだね。
でも、だからこそ怒ったのかもしれない。
お姉さんは先生に恋することのつらさを、一番知ってるはずなのにって……
『それにね、置き去りにされたような気分でもあったの。
義妹(いもうと)として可愛がっていた小夜ちゃんが生きていたのは、本当に嬉しかった。だけど、小夜ちゃんも秋人も、新しい一歩を踏み出そうとしていて……私だけが、まだひとりぼっちで。
そんな、寂しい気持ちの行き場がなくて……嫉妬心を抱いていた千秋ちゃんにぶつけてしまったのかもしれない。
身勝手なことをして傷つけたこと……本当に、ごめんなさい』
電話の向こうの声はしっとりと濡れていて、お姉さんは泣いているのかもしれないと思った。

