金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


『私……あなたに嫉妬してたの……』


「嫉、妬……?」


『そうよ。教師である秋人に真剣に想われてるあなたが、どこか羨ましくて……そして妬ましかった。
自分には、できなかったことだから……』



自分にはできなかった……?



『……私がこの歳になっても独身なのは、あることがきっかけで恋愛に臆病になってしまったからなの……


高校時代、担任の先生に失恋したときからね』



過去に思いを馳せるように、静かにお姉さんは語ってくれた。

今の私と同じ、学校の先生に恋したときのことを。

苦くて切ない、大切な思い出を。



『付き合っていると思っていたのは私だけで、その先生は私が卒業する直前に結婚してしまった。……裏切られた思いだったわ。キスだってその先だってしていたし、“卒業したら堂々と人前を歩けるね”なんて笑って話していたから……

でも、それでも諦められなくて卒業式の日にもう一度告白したら、“迷惑だ”の一言で切り捨てられてしまった……』