「千秋ちゃんって、謙虚よね」


「え?」


「私なんて、クリスマス一緒に過ごしてくれないなら別れるって言って木村先生と大ゲンカしちゃった。

仕事だから仕方ないってわかっててもそんなこと言うなんて、子どもだなって自分でも思って嫌になるけど……さみしいものはさみしいもん。」



昼休み、菜月ちゃんに旅行の話をしたら、そんなことを言われた。


私も、先生に素直に甘えてみたいという気持ちがないわけじゃないけど……


今はそれよりももっと気になることがあって、それに怯えているから……

わがまま言ってる場合じゃないって、無意識に抑えているのかもしれない。


……あのメモは、まだ自分の部屋の机の引き出しに入ったままだ。



「――よし!クリスマスの予定ゲットォ!」



バスケ部のミーティングに出かけていた有紗が、教室に帰ってくるなり声高にそう叫んだ。



「なーに、有紗ちゃん、部の誰かに誘われたの?」


「まっさかぁ。相手の居ない寂しい人が集まってみんなでわいわいカラオケしようってなっただけ。それでも一人で過ごすよりはいいもん」



有紗がそう言いながら席に着いたところで、私は二人に向かって口を開いた。