「――――杉浦くん!!」
息を切らせて扉を開けた私の目に飛び込んできたのは、部屋の隅に追いやられて3人の男子に踏みつけられている杉浦くんの姿だった。
杉浦くんが大切にしているカメラも、床に転がっている。
「三枝……さん」
「先生、誰か来て……!!」
咄嗟に私が叫ぶと、杉浦くんを囲んでいた男子が慌て出す。
「やべっ」
「おい、そこどけよ!」
彼らに身体を押されて、私はトイレの壁に背中をぶつけてしまった。
「いったぁ……」
痛いやら今の男子に腹が立つやらでしゃがみ込みたくもなったけど、私よりも杉浦くんの方がきっとひどいことされてる。
「杉浦くん……大丈夫……?」
言いながら手を差し伸べてみたけど、杉浦くんはつかもうとしてくれない。
「立てない……?」
「いや、立つのは自分でできるよ……」
体をふらつかせながら、杉浦くんは自力で立ち上がった。

