金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


三人で色んな食べ物を食べたり

木村先生と菜月ちゃんが話しているのを有紗と二人で遠くからひやかしたり

文化祭を思う存分満喫しているとあっという間に交代の時間が迫っていた。



「あーあ、めんどくさいけど食べた分働きますか!」


「土居くんも人気があるから、忙しくなるかもね……」


「あ、私トイレに行きたいから二人とも先に行ってて!」



私は二人にそう告げると、何も考えずに一番近くにあったトイレに入った。


用を足して、手を洗いながら鏡をぼんやり覗いていると、いきなり壁の方からものすごい音がした。

思わず落としてしまったハンカチを拾いながら、私は呟く。



「何……?」



なにかがぶつかるような音だった。


壁の向こうは、男子トイレ。


なんか、嫌な予感がする……


私は壁に近づき耳を澄ませた。






「――――これは大切な物なんだ、壊さないで!!」


「はぁ?杉浦のくせに俺らに命令すんのかよ」





杉浦――――……!?


私はその名前を聞いた瞬間、無意識に女子トイレから飛び出し隣の男子トイレに入っていた。