金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


私たちはそのまま、大きなタンクに隠れてキスを交わした。


夕暮れの屋上は少し寒かったけれど、キスをしただけで全身に熱が行き渡る。


あんなに素敵なプレゼントをもらったあとだから、不安も心の奥底で静かにしてくれるみたいだ。

私は幸せな気持ちで、差し込まれた先生の舌を受け止める。



「ふ……あ」



ここが学校だということを忘れてしまったかのように、私たちはしばらくの間、お互いの唇と舌を求め合った。



「……暗くなってきましたね。そろそろ戻らないと……」


「ん……そう、ですね」



そう言ってからも名残惜しくて、二、三度唇を合わせた私たち。


最後に長いキスをしてからその唇を離した先生が言う。



「冬休みになったら……」


「…………?」


「二人でどこか遠くへ行きませんか?……泊まりで」



それって……

先生と旅行するってこと……?


――――行きたい。


すごく行きたいけど……