屋上へ続く扉はいつもは閉まっているのに、今日はノブを回すとあっさり開いた。
茜色に染まる空が、私を出迎える。
生徒がここを開けることはできない。
ここを開けられるのは、先生方だけ……
私のホストさんが、きっとここにいる。
キョロキョロしながら屋上を進んでいくと、貯水タンクの影になった場所に、黒いスーツの人物が座っていた。
「……見つけた」
彼を見下ろして、そう声を掛けた。
開いたシャツの襟から、いつもは見えない胸元の鎖骨が覗いていて、ドキンと胸が跳ねる。
なるほど……みんなが騒ぐわけだ。
「ごめんね、こんなに遅い時間になってしまって……」
先生はそう言って立ち上がると、傍らに置いてあるラッピングされた箱を私に手渡しながら、微笑む。
「17歳おめでとう、千秋」
先生、やっぱり覚えていてくれたんだ……
「ありがとうございます……」
受け取ったプレゼントは10センチ四方の小さな箱。
中身はなんだろう……
この間欲しいものをきかれたときにちゃんと答えられなかったから、全く予想がつかない。