「マジ?千秋が帰るんなら私も部活行こ」


「私も帰るー」



一気にやる気をなくした女子たちを見て、近くに居た土居くん――彼も衣装合わせのために紫のスーツに身を包んでいる――が不機嫌そうに言った。



「さぼるなよお前らぁ」


「ホストが女性にそんな言葉づかいしないで頂けます?あとはあなた方にお任せいたしますわ。それじゃ、ごきげんよう」



有紗がよくわからない上品キャラになって教室を出て行き、私も「ごめん」と言いながらその後に続いた。


体育館に向かう有紗と別れて、菜月ちゃんと他愛もない話をしながら靴箱に行くと私の靴の上に一枚のメモが置いてあった。



「――――菜月ちゃん、ごめん!私、用事できた!!」



きょとんとする菜月ちゃんをその場に残し、私は廊下を走って階段を駆け上がる。



『屋上で待ってます。あなただけのホスト“A”より』



そう書いてあるメモを、手の中にぎゅっと握りしめながら……