金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


「――あ、もしもし。もう学校は終わった?」



学校……?こんな時間にまだ学校に居るなんて、高校生じゃないのかな。

それか、予備校とかって意味かも。


菜月ちゃんの声を聞きながら、勝手に相手についての想像を膨らませる。



「うん、修旅は楽しいよ。でも同室の子が恋のことでウジウジ悩んでてやんなっちゃう。その子も相手が先生みたいで、色々と大変なのは解るけど私にとってはすごく羨ましい環境なのに……」



その子“も”――――?


菜月ちゃんの彼氏ってもしかして……



「……うん。わかった。忙しいのにごめんなさい。明日、お土産買って帰るね。おやすみなさい」



少し名残惜しそうに電話を切った菜月ちゃんは、ベッドにスマホを放り投げると私を見てため息をついた。



「彼、一年生の担任だから修学旅行の間は私ずっと寂しいの。だから千秋ちゃんが羨ましい。毎日顔を見ることができて」



やっぱり、菜月ちゃんの相手も先生なんだ。

でも私が羨ましいって……それは恩田先生が担任だからってことだよね……