金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


三日目は、旅行に来てから初めての曇り空だった。まるで私の心のような、重苦しい鉛色。


午前中はひめゆりの塔を見学したり、戦争中に避難場所や傷ついた兵士を手当てする場所として使われていたガマという洞窟で戦争体験者の話を聞いたり……

学ばなくてはいけないことと解っていても、耳を塞ぎたくなるような凄惨な話ばかりで、私だけでなく生徒皆が瞳を伏せていた。


大きな観光施設で食べたお昼の沖縄そばもなんだか喉を通らなくて、ほとんどを残してしまった私。


ふう、とため息をついてお冷を傾けると、不意に視線を感じて顔を上げた。

その視線は少し離れたテーブルから送られていて、それでもまっすぐに私に届いていた。


“大丈夫――――?”


声は出さずに微かな口の動きで言ったのは、昨日のことは忘れているかのような普通の顔をした、先生。


それを見たら色んな想いと一緒に涙がこみ上げそうにってしまったから、私はふい、と目を逸らした。


こんな態度取ったら、おかしいって思われちゃうのに。


余計に先生を心配させてしまうのに。