「うん、それは大丈夫だから。本当に、ごめんね……」


「大丈夫なら、よかった。言えないってことはもしかして上手くいったのって聞きたいけど、それも我慢する」



悪戯っぽく笑う有紗は、なんとなくわかっているみたいだ。私と、先生のこと……



「じゃあ、代わりに私の話を聞いてくれる?」


「うん、もちろん。あ、そうだ。先輩とは……したの?」



夏休み前に有紗が言っていた。先輩と、そういうことになりそうだって。

きっとその報告かなぁなんて思いながらのん気に構えていたら、予想外の台詞が有紗の口から出てきた。



「別れちゃった!」


「え……?」


「先輩さ、すっごい難しい大学を目指してるんだって。それも、家から通えないとこ。だからもう前みたいに遊べないし、勉強に集中したいからって……ふられちゃった!」



からっと明るく笑ってみせる有紗には、未練みたいなものは感じられない。



「……泣いた?」


「そりゃもう。先輩が引くほどわんわん泣いてやったよ。でもそしたらすっきりしちゃった!次に付き合うなら絶対タメにする!!」