次第に荒くなる岡澤の息が顔にかかって、私は目を閉じた。
でも、視覚をさえぎると触れられている部分の感覚が敏感になり、どちらにしろ気持ち悪いことに変わりはなかった。
早く、岡澤の気が済むことだけを祈って……ただ、じっと、私は耐えていた。
幸い、岡澤はしつこく私の脚をなで回しただけでそれ以上の行為には及ばなかった。
岡澤が私から離れ、やっと解放されたと胸をなで下ろした私。
でも……ヤツは進路指導室を出るときに、私の耳元に唇を寄せてこう言った。
「これからも……時々、頼むな」
私はきっと怯えた目をしたのだろう、岡澤はそんな私を安心させるように肩をぽんと叩くと
「三枝の進路のためだろ?少しでいいんだ。少し……触らせてくれれば」
全く悪びれる様子のない岡澤に私は……
はっきり“いやです”と、言えなかった。

