「なぁ、花音。何であんな噂が流れたんだ?」


い…言いたくない。


「なぁってば。原因は何なんだよっ。」


「ち…ちょっとね。」


あは、としらばっくれてみる。


「だからそのちょっとを教えてくれよ。あたし心配なんだよ。」


ありがたいけど言えない。


朝まで一緒に眠っていましたなんて言えない。


悠樹君は直人に質問攻めにされていて、煙たがっている。


彼にしたら、私が心配で付き添っていたら寝てしまって、朝まで一緒に居たにすぎないのに。



「なぁー。聞いてるの?」


うぅ、こうなったら無理矢理話題変えてやる。


「そうだ!友香。今日のウタ☆パラにはRoseが出るんだって!」


「そうか。逃げるなよ。」


「ほら、私この本この時間に読み切りたいから!」


「あーもー!お前には負けるよ。しかもなにそれ!『マクロ経済論への入門書』って!」



何って、題名のままなんだけど。


ん…?


今悠樹君がこっちを見ていた様な。


気のせいかな?


なんだろう。


この、複雑な気持ち。


直人とのあの時みたいに。


緊張する。