現在、2時限目。この時間は自習だ。


それなのに。


僕は何をしているんだろう。


「だぁーかぁーらぁー!噂は本当なのかって聞いているんだよ!」


「お前もか、直人。」


「どぉーなんだよっ!」

あーもー、本日何回目だ。


「単なる噂。ていうか仕事は?ない訳じゃないだろう。」


「今日は午後からなんだよ!ていうかお前はどうなんだよっ。」


「どうもこうも、だいたい僕たちPrinceは夕方からしか活動しないし。」

これは親父の方針だ。


僕にアイドルをさせるための条件。


「あぁ、でも今夜の生放送には出るよ?君達も出るヤツ。」


「そういえばそうだったな。」


まったく、僕の不覚とはいえ正直疲れた。


この上ショウゴにもならなくちゃいけないのか。

そういえば、彩野には僕がショウゴだって言ってなかったな。


彼女は今、訳のわからない本を読んでいる。


笑ってくれないかな。


僕を見て。


「なぁ、悠樹。」


「何?」


「お前、好きになったのか?」


誰を?


「花音を、好きになったのか?」


「さぁ…自分でもわからないよ。」


そう、思っておこう。


本当のことは、もう薄ぼんやりわかっているけど。


まだ知らないフりをしていよう。


拒絶されるのが、怖いから。