恋をしたのは澤村さん




次の日の放課後。
あたしはあの駅前で澤村さんを待っていた。

「あと、10分か…」

駅前には帰宅ラッシュの人でごった返していて待ち合わせ場所を変えればよかったと少し後悔した。
急ぎ足で歩いていく人の波を眺めながら近くの噴水に腰かけた。

「葵」

名前を呼ばれた方向を向けばそこには澤村さんが立っていた。

「……お久しぶりです」

久しぶりって言うのか微妙だけれど。

「話って何?」