恋をしたのは澤村さん



「しま、づきくん…なんで……?」

「……メール見てない?田中さんが送ってきたあとで送り返したんだけど」


屈んだ体制から腰をあげる島津木くんとの身長差にビクリと体が後ろに後ずさった。
それを見る島津木くんの目はすぅっと細められた。

「…田中さんさ……」

「なに…っ」

伸ばされた手が肩に触れる。
彼の目は相変わらず細められたまま。
こんな島津木くんは知らない。
というより、家が近いと行っても少し距離のあるあたしと島津木くんの家じゃそもそもプリントを持ってくる事自体がおかしいんじゃないか。


そう思うとますます体は硬直する。

「………そういう反応されるとさ…俺我慢できないんだけど…今まで我慢してきたのに」

掴む力が強くなり、手を振り払うことができない。

「やめっ」

島津木くんの顔が近くなる。
やめてって言葉は最後まで言えなくてほんの一瞬の重なりの合間に消えた。


「………叶わない恋しないでよ…」

悲しそうな島津木くんの声に私はカッと顔が熱くなるのを感じた。
気がつけば彼の頬を叩いていて悔しさや哀しみ屈辱で涙がこぼれた。

「最低」