恋をしたのは澤村さん


あれから約一時間半。
19時半を針が少し過ぎた頃、もう真っ暗になった外の騒がしい喧騒に集中力が切れた。少し前と同じようにフッと窓の外を見やると雨が窓ガラスを盛大に叩いているのに気がついた。

「え、」

ザァーーー!という音が静かな社内にも響いてくる。こんなに雨が降るまで気づかないなんて果たして自分はどれくらい集中していたのか。
この状況に浮かぶことはただ一つ。
置き傘があったかどうか。運が良ければ他の社員が置いていったのがあればそれを拝借しようと立ち上がった。

「…………だとは思ったけれど」

いつもなら傘の1、2本位はあっただろうけれど自分の今日の運の無さはこんなところにまで来るのか。
見事傘立てには傘一つなく、なんとも言えない気分のまま今日はもう仕事を切り上げる事にした。