「送らなくて大丈夫?」
「平気、平気。今日は実家に帰るから」
結婚式を無事に終えて、楓香たちと別れた。
家に送ると言ってくれる楓香に明日は仕事が休みだからここから近い実家に戻ることを伝えた。
改札を抜け、電車に乗り込む。
冬が近くなってきた秋終わりは少し肌寒くてドレスじゃ頼りなかった。
もうそろそろマフラーとかいるかもなんて持ってきたストールを肩にかけた。
流れてく景色を眺めながら望月くんとのやり取りを思い出す。
二人からどこまで聞いているのか分からないけれどきっと、望月くんだから私は泣いたんだと思う。
事情を知っている楓香に言われても私は頑として聞かなかっただろうし、当事者である島津木くんでも同じだろう。そう思うと、今日望月くんに言われたことはどれだけ救われただろう。
また家にお邪魔するときに何かお礼でも持っていこう、と考えて流れゆく景色にまた意識を戻す。 光が幾重にも重なって線のようになる。
あぁ、会いたいと思った。
あの人に会いたい。会って、笑ってほしかった。バカだなって言ってほしかった。

